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~教育長室から~

[2018年8月10日]

No.14  『雑感』

 先日、大先輩の先生とお会いして、小中教育研究会(今も本県の教育研究の中心となっている組織)が発足する前のご苦労をお伺いすることができました。

 お話によると、当時は戦後の民主教育の名の元、教育者自らが信念を持って教育に携わるべきと考えられ、教材研究や指導法について切磋琢磨する同好会が次々に誕生したようです。これらの同好会の会合や研究会は、土曜日や日曜日に開催されるのが当たり前で、経費はすべて会員負担だったとお聞きしました。やがてこれらの同好会や研究団体を全県的に統合・改組され、昭和41年4月に発足したのが現在の滋賀県小・中学校教育研究会であるとお伺いしました。多分、この当時は教育関係だけでなく、役所関係や民間会社でもこのようなご苦労があったと思います。

 その先生とお別れした後、当時の先生方の教育に対する情熱に感動すると共に、その頃日本を支えてこられた諸先輩方が今の我が国の現状をどう捉えられておられるかと思うと、現在に生きる私たちは今一度背筋を伸ばし、襟を正さずにはおられません。

 確かに当時に比べて我が国の諸課題は大きく様変わりしてきました。少子高齢化、高度情報化、グローバル化、そして人口減少化。特に人口減少化は顕著で、2040年までに現在全国1800市区町村の内、約半数の自治体が消滅する可能性があると報道されたことに大きな衝撃を受けたのは私だけでしょうか。

 子どもたちの故郷が無くなってしまうのです。

 この課題に対応するため、地方創生関連法が施行され、全国の自治体では自らの生き残りをかけて、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定が進められているところです。しかし一番大切なのはやはりそこに住む人です。そのまちの将来を担う人材を育成する上で、教育の果たす役割が非常に大きいことは明らかです。このことを教育関係者のみならず、すべての国民が理解しなければなりません。

 以前にもお話しさせていただきましたが、教育においては、どんなに社会が変化しようとも、「時代を超えて変わらない価値のあるもの」(不易)があります。豊かな人間性、正義感や公正さを重んじる心、自らを律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心、人権を尊重する心、自然を愛する心など、こうしたものを子どもたちに培うことは、いつの時代、どこの国の教育においても大切にされなければならないことです。一方、流行の最先端として、グローバル化に対応するため小学校での英語活動や英語の教科化が、また高度情報化に対応するため各種のICT機器が導入されています。

 しかし、これらは災害がなく日常生活が安定していることが条件です。

 今年はここまで、この条件の一つである自然災害がいろいろな形で牙をむいて、多くの人の命をいとも簡単に奪い去っていきました。大雪・地震・豪雨・酷暑・台風・・・・。今までとは異なる、想定しにくい状況が現れてきました。地球の温暖化が少なくとも影響していることは確かです。このことは我々人間が、自然は無限にあるものだと過信し、人間だけの便利さを追求してきたことが、大きな原因の一つです。

 もはや、想定外という言葉を使っている場合ではないところまで、自然は私たちを追い詰めてきました。この国の未来を担う子どもたちのため、自然災害を含め、あらゆることを想定していかなければなりません。国や地方公共団体はもちろんですが、職場においても、学校でも、そして地域でも、家庭でも、いろいろな災害を想定して、話し合っておくことが必要です。

 先の大戦後、日本は大きく変容しました。いろいろな事業を立ち上げられた諸先輩は、この不易の部分からのスタートだったと思います。その後いろいろな流行を取り入れ、今日の日本の礎を築かれました。そして私たち戦後生まれに引き継がれ、今の日本があります。前述した想定外の自然災害への対応はもちろん、働き方改革等を十分考慮の上、今の子どもたちにバトンを渡さなければなりません。そして同時に、次世代を担う子どもたちには、『郷土愛』と共に世界の国々と協同していくことの大切さ、『地球愛』を育まなければならない時代が来たように思います。

 

平成30年8月  近江八幡市教育長 日 岡  昇

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