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平成28年1月

[2017年1月1日]

『見ざる聞かざる言わざる』で良いのかな?

 市民のみなさま、明けましておめでとうございます。ご家族そろってお正月を迎えられたこととお喜び申し上げます。昨年は温暖化の影響か、世界各国で想定外の自然災害が発生し、多くの被害がでました。また国内外において凶悪な事件が数多くありました。どうか今年は平和な一年であることを心から願っています。

 さて、今年は『申(さる)年』です。江戸時代の随筆「嬉遊笑覧(きゆうしょうらん)」の中に、『見ざる聞かざる言わざる』ということわざがあります。猿や申年の人にちなんで使われることわざで、「余計なことは見ない、聞かない、言わない」ということを意味します。

 しかし、教育の世界では、このことわざは通用しません。目の前の子どもの行動や背景をしっかり見ること、そして、子どもたちの会話や何気ないつぶやきも耳を澄ましてしっかり聞くことは、教育者として当然のことです。しっかり見聞きすることによって、実際に見たことや聞いたこと以外の多くのものが見えてきます。

 私が校長時代、ある若い担任の先生が家庭訪問を終えて学校に戻って来た時に、こんな会話をしたことを覚えています。

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私   「お家の彼の様子はいかがでしたか?」

担任    「お母さんが勤めから帰っておられなかったので、

                       玄関先で本人と話してきました。」

私   「それでは家庭訪問した意味がないですね。

       本人となら学校でも話せます。

       どうしてお母さんの帰りを待っていなかったのですか?

       遅い時間(午後8時頃)でしたが、彼は食事はどうしているんですか?」

担任   「まだ食べてないように思います。

       お母さんの勤務先もわからないし、本人も知らないと言っていたし・・・。 

       個人情報だから、こちらも聞きませんでした。」

私   「あなたは担任失格です。」

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 この先生はどうして担任失格なのでしょう。

 それは家に行ったという事実以外、何も感じ取れていないからです。まず午後8時頃ですと、多くの家庭では食事を終えている時間帯なのに、その確認ができていません。教師にとって子どもが家に帰ってからの生活や、夕食はもちろん朝食はとれているのか等の様子を把握することはとても大切です。

 次に、個人情報だといって家族の様子を聞き取ろうともしていません。当然、子どもたちの個人情報はしっかり守らなければいけません。しかし、子どもたちを守るためには、確実な情報を知る必要があります。突然、お家へ行っても話してもらえないのは当然です。訪問する時は、学校でいたずらをした時だけではなく、素晴らしい行動や言動があった時にも訪問し、お家の方に報告できていたか、また、自分の教育への熱い思いやどうして教育者になったかなどが伝えられてきたかを話してくるべきです。なぜなら、教師自身がどれだけ心を開いて話したかによって信頼は生まれてくるものだからです。信頼があって初めて子どもも保護者も安心していろいろな事を話すことができるものです。こんな話を1時間ぐらいしました。

 最後に「あなたの素晴らしいところは、何があっても、とにかく訪問して保護者に伝えるところです。とかく電話で済ましてしまうことが多い中、時間を惜しまず訪問することは立派なことです。これからは子ども自身の心境や、子どもを取り巻く環境をしっかり観察し、子どもや保護者の声をしっかり聞いて、できる限り電話ではなく、直接出会って話してください。」と指導しました。

 今年は、市内の教職員すべてが、子どもをしっかり見て、子どもの話をしっかり聞いて、いつでも膝を突きあわせて保護者のみなさまに伝えられるよう、指導してまいりますので、より一層のご理解ご支援をいただきますようよろしくお願いします。

 平成28年1月

                   近江八幡市教育長 日岡 昇

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